Yasuo YOSHIKAWA吉川 恭生


セルビア共和国、コソボ自治州Peja(ペヤ)は内戦とNATOの空爆で町の90%が、破壊された。Pejaは、国連治安維持軍KFORイタリア軍の担当地域だった。NGOと軍の通訳も大事な任務だ。
破壊された家屋を冬、雪が降る前に1000軒屋根を掛けるMSF初めての非医療プロジェクトのために世界中から8人のロジスティシャンが集められた。このような日干しレンガの貧困層の家屋は対象外とされた。構造上、効率上屋根が掛けられないからだ。
これが、対象家屋だ。壁がコンクリートで、一定の大きさで、他の家族を最低6人一冬引き受けなければならない。
トタン屋根が完成した家屋。材料、工具、マニュアル、アドバイスは我々が提供し、施工は彼ら自身で行う。どの家も窓は焼け落ちている。
説明用モデル。いかに安価で頑丈に長野県なみの積雪に耐えられるかが条件で設計された。材料は、トタンはルーマニア、木材はモンテネグロ、からコンボイが危険をすり抜けて陸送した。これが最も安価なのだ。我々には各国で働く仲間がいるからできた離れ業だ。ちなみに、国連は、4cmの角材少々とブルーシートで一冬過ごすと言っていた。
UNHCR国連高等弁務官事務所が作ったモデル。各国のNGOは資材提供を受けて設置していったが、断る住民も少なくなかった。MSFの屋根がほしかったからだ。
UNHCRの避難用テント。冬を前に不安をつのらせる人々。社会的弱者を優先で援助するべきなのだが、極限状態では人は誰でも嘘をついて弱者を装う。それを調べて的確に援助対象を決めるのが、私の任務だった。感情に流されない正確な判断が求められた。この家族は、実はテントに住んではいなかった。
MSFの屋根(屋根掛けドクターと呼ばれていた)を施工している家屋。昔の日本と同じように親戚縁者が集まって棟上げをみんなでする。1000軒目標の750軒目で、この日、我々MSFはノーベル平和賞を受賞した。750軒目達成のほうがうれしかった。
Back to Top